電子情報工学科 塚研ホームページ
学校から見える立山連峰
所属・職

所   属 富山高等専門学校射水キャンパス 電子情報工学科
役   職 教授 教務主事
担当科目 電気回路T,U,V(3,4年),情報工学実験(3年後期), 生体情報工学(専2年前期),技術者倫理・企業倫理(専2年後期),制御情報システム工学演習,実験(専1年後期)

これまでヒトの視覚系で生じる錯視の研究を行ってきました.錯視とは実際に存在しない明るさ,図形,長さを知覚するヒトの視覚系特有の現象です.ヒトが進化する過程で備わった「ものを見る」機構の副産物として錯視が生じます.錯視発生のメカニズムがわかれば,ヒトが行っている「立体的に物を見る」,「動いている物を見る」ことの手がかりが得られると考えています.また,これらを応用した画像処理も重要なテーマです.

最近のテーマ

ハンズフリーポインティングシステム

「ハンズフリーポインティングシステム」は上肢障害者がパーソナルコンピュータを使いこなす事を支援するという社会的課題に応えるために開発を進めているシステムです.

レーザポインタを利用(特許第4340760号)

情報工学科 塚研ホームページ 液晶モニタにレーザポインタを照射すると,照射した点にカーソルが追従するポインティング技術を開発しました.これまで赤い部分や白い部分に照射された赤のレーザをカメラ画像から検出することが課題でした.我々はカメラの露出値を適切に変更することでこの課題を解決しました.また,この技術ではモニタ全体が映るようにカメラを置くだけで実行できます.初期設定の作業は不要です.さらに,レーザポインタの位置はある程度自由です.

・ポインティングの正確さやちらつきのなさは抜群です.Wordやブラウザ等通常のアプリが使えます.
・従来の支援機器に比べ,文字入力速度,疲労感,設定の簡便さに優れています.
・特にインターネット等カーソルの移動が多いアプリには効果大です.
・利用者が移動しても設定し直す必要はありません.
・現在,頸椎損傷の方でも利用できるよう,スイッチ手段を開発中です.
・この技術は,健常者のPC入力装置への応用も可能です.

マイクロレンズアレイマーカ(ArrayMark)を利用


ロボットや仮想現実の分野で使用するための高精度マーカ(ArrayMark)が産総研の田中研究員によって開発されました.ここでいうマーカとは,サイズのわかっている正方形のマーカをカメラで撮影することで,そのマーカがカメラに対してどの位置でどこを向いているか(姿勢)を計算できるものです.ArrayMarkはマイクロレンズアレイを採用することで,正面方向からの姿勢推定精度が悪いという従来のARマーカの最大の問題を解決しました.

本研究室では田中研究員と共同でArrayMarkを用いたハンズフリーポインティングシステムを開発しています.ArrayMarkを眼鏡に取り付け,その位置・姿勢を計算します.カメラとモニタの位置関係がわかっていれば,ユーザの顔がモニタのどこを向いているかを計算できます.現状ではレーザポインタを用いる場合よりちらつきが多く,入力時間・操作性の点でやや劣りますが,安全性,電源が不要な点,軽量(2 g)であることが優れています.


距離画像カメラを使った英会話教育システム

日本人の英語スピーキング能力は世界的に低いという結果がでています.この理由として,日本では1クラス40名の学生がいるので一人一人のスピーキング練習に時間をかけられないことが挙げられます.
これを解決するため,本校一般教養科のCooper先生は英語コミュニケーション教育システム(バーチャルインタビューシステム)の開発を目指しています.このシステムは,各学生がPCに向かい,教師の質問に対する回答を録画しサーバに送る仮想的なインタビュー機能をもっています.今後,意思伝達に重要なジェスチャーを練習する機能,会話中の顔の表情を評価する機能をもたせる予定です.

バーチャルインタビューバーチャルインタビュー授業風景
バーチャルインタビューシステムと授業風景

本研究室はこのシステムを技術的側面でサポートしています.ここでは距離画像カメラと呼ばれるカメラを使っています.Microsoft社のXbox用のセンサーであるKinectやASUS社のXtion,Creative社のGesture cameraがそれにあたります.これらは通常のカラー画像以外に,大雑把ですが奥行情報を表す深度画像も取得することができ,骨格の抽出機能も備えています.現在はXtionを使っています.

ジェスチャーを認識する

現在は,典型的なジェスチャーを認識するプログラムを作成しています.適切な場面でこれらのジェスチャーが使えたかを評価できるようにする予定です.

顔認証ログイン

本人と他人のマスク間距離 双子 Xtionから得られる画像と深度情報を顔認証に応用します.従来の顔認証は画像を使って目,鼻,口等の位置関係やエッジを比較する2次元顔認証と特殊な装置を使って顔の凹凸を計測しそれを比較する3次元顔認証があります.2次元顔認証では顔の向きやサイズの違いによる認識率の低下,3次元では装置が非常に高価という問題がありました.Xtionを使えば安価な3次元顔認証とそれを利用して正面顔に限定した2次元顔認証が同時に実現できます.図は40人×5枚のデータに対する照合結果を示します.横軸は2つの顔マスクの距離(3次元認証),縦軸は顔輪郭の重なりの度合い(2次元認証)を表します.本人の組と他人の組がきれいに分かれ,認証がうまくいきそうです.初対面で見分けがつかない双子もこのシステムでは判別できます.現在,実際の授業で実験するための準備中です.
 また,本研究を通して顔の表情の変化が数値として表せる手応えをつかんだので,今後顔の表情評価も行う予定です.

音声認識による自動採点機能

カーネギーメロン大学が開発した音声認識エンジンSphinxを利用する予定です.日本人向けの認識モデルの作成で協力する予定です.

リアルタイムメークアップシミュレーション

2001年頃,デジタルファッション(株)と共同で作成しました.化粧をしていない人がPCの前に座ると勝手にアイシャドー,口紅,ファンデーション等で化粧をした自分が映っているというものです.1秒間に何フレームの処理ができるかが鍵でした.動画は私の作成したプロトタイプです.
最近の取組みとしては,Kinect,Xtion等から得られる顔の深度情報を利用した,メークアップの改善を試みています.




これまでのテーマ

省エネ発光体の測定

情報工学科 塚研ホームページ 夜,ライトを消すと薄緑に光って見える素材を知っていますか.これには光を蓄える機能をもつ蓄光材料が使われています.蓄光材料を用いた発光体は,災害時における非常灯や危険部位のマーカーとしての応用が期待されています.商船学科の山本先生と(株)ハウステックが発光体の最適設計を行い,本研究室では発光体の評価を画像処理を用いて行っています.これまで,不安定であった発光体の明るさ測定をカメラの温度制御と前処理の工夫で何回測定してもほぼ同じ測定ができるようになりました.また,画像で測定しているので発光体全面の明るさが評価でき,キズやムラを検出することも可能です.

昆虫の触角追跡







昆虫の触角は眼と同様にものを認識するのに役立っています.モンタナ大学の馬場先生は触角の役割を詳細に調べています.我々はこの研究に協力するため,昆虫の触角の動きを画像処理技術を用いて検出しました.左の図は固定した昆虫を鏡で写して2方向から触角を検出している様子です.右の図は時間とともに触角が動いている様子です.速い動きや動いている昆虫の触角を正確に検出することが課題です.

背景を除去する(クロマキー)

クロマキーは青や緑など特定の色の背景部分を透明にし,そこに別の映像を合成する技術です.これまで,背景との境界部分に背景色が混じることや前景のなかで背景と同色の部分が抜けてしまうという問題がありました.本研究では2色の背景を用いることでこれらの問題解決を図りました.(インテックW&Gとの共同研究)

ヒドラの2値化

ヒドラは淡水に住む体長数ミリの生物です.タコのような触手でえさを食べます.極微量の脳内物質を混ぜた溶液中では捕食の様子が変わります.これを利用すれば,ある物質がどの程度の割合で含まれているかを測定することができます.従来は顕微鏡を見ながら熟練者が判定していました.本研究ではこの大変な作業を画像処理で自動化しようと試みました.ヒドラの触手は細く透けているので一般的な画像処理の手法では途中で切れてしまいます.そこで,錯視の生じるメカニズムを利用した新たな方法で触手が検出できるようになりました.(京都府立医科大学との共同研究)

コントラストを改善する(コントラスト強調)

視覚系における明るさに対する反応を利用して画像のコントラストを強調する方法を提案しました.処理結果の比較

錯視の生じるメカニズム

話が少々ややこしくなるのでここでは割愛します.